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名古屋高等裁判所 昭和31年(ネ)395号 判決

静岡県磐田市二之宮千三百七十三番地

控訴人

勅許家元正四位菊坡安信司家

乾坤院儒教陰陽道孔子教団総

司府上海司庁公許祭祀法人儒

学治教孔子教団総師府東亜大司庁

総師府司長宣教主

李明俊

宗教法人皇治教神祗陽陰道殖産興業寮

総管大教主陽陰医学頭宣教司

木舟晴善

右代表者主管者

木舟直太郎

被控訴人

昭和税務署長

青島幸太郎

右指定代理人

名古屋法務局訟務部長

宇佐見初男

訟務部第一課長

大野謙治

訟務部第二課長

加藤敏男

法務事務官

斎藤浩

右当事者間の昭和三十一年(ネ)第三九五号差押無効確認請求控訴事件につき、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

控訴人代表者は、「原判決を取消す、被控訴人が訴外合資会社日本堂製作所の国税滞納処分の執行として昭和三十年六月二日別紙目録記載の物件についてなした差押は無効であることを確認する」との判決を求め、被控訴人指定代理人は主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述として当審において、控訴人代表者において、本件物件は贈与者である訴外小野馨の住居において差押を受けたものであると釈明し、被控訴人指定代理人においてこの事実を認めると述べた外、事実上の主張及び立証並びに書証の認否は、原判決の事実摘示のとおりであるから、ここに引用する。

よつて審按するに、被控訴人が訴外合資会社日本堂製作所の国税滞納処分の執行として昭和三十年六月二日訴外小野馨の住居において本件物件について差押をなしたことは当事者間に争がない。控訴人は同物件を昭和三十年五月十日訴外小野馨同小野平八郎より贈与を受け、同日引き渡しを受けて所有権を取得したと主張し、成立に争のない甲第五号証(公正証書)には同訴外人等は、昭和三十年五月十八日控訴人に同物件を無償贈与して引き渡しを了した旨の記載が存するけれども、右公正証書は本件の差押えをなした後の同年八月三十日に作成されたことが明白である点と当事者間に争のない本件物件は贈与者訴外小野馨の住居において差押えた事実とを併せ考察すると、同公正証書のみをもつては、同記載どおり控訴人に引き渡しを了した事実を認定する資料となすには足りない。その他、右差押を受けた当時、控訴人が本件物件の引き渡しを受け、その所有権をもつて第三者に対抗し得る事実について何等の主張立証がないので結局、控訴人は右訴外人等より本件物件の贈与を受けたとしても、その所有権取得をもつて第三者である被控訴人には対抗し得ないことに帰する。控訴人の本訴請求はこの点において失当であり、棄却を免れない。

これと同旨に出でた原判決は相当であつて、本件控訴は理由がなく棄却すべきものとする。

よつて民事訴訟法第九十五条第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 北野孝一 裁判官 大友要助 裁判官 吉田彰)

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